この1月29日(水)、30日(木)、東京・御茶ノ水RITTOR BASEにて、cali≠gariの石井秀仁をボーカルに迎え約22年ぶりとなる単独公演を行ったCROW。
GRASS VALLEYのドラマーとしてデビューした後、SOFT BALLETや平沢進ほか数々のアーティストのサポートやセッションを行い、P-MODELにも在籍した経歴をもつ上領亘と、SOFT BALLETやENDSなど様々なアーティストの作品を手がけてきたマニピュレーター、アレンジャー、レコーディングエンジニアである白石元久。
この2人によってインダストリアル/エレクトロニカ・ユニット“CROW”が結成されたのは、2001年のこと。yukihiro(L’Arc~en~Ciel、ACID ANDROID)や遠藤遼一(ex.SOFT BALLET、ENDS)、Darieら豪華ゲストをフィーチャーして開催されたライブ「“Surround Space Perception”(四方空間知覚)」は、TCエレクトロニック社のサラウンド・システムと映像を駆使した画期的なもので、音響マニアの間でも大きな注目を集めた。
2005年には1stフル・アルバム『Hajimari~始』を発表し高い評価を得たものの、その後20年近く動きのなかったCROWが再び姿を見せたのは2022年。石井秀仁(cali≠gari)がボーカルを務めるGOATBEDとの2マン・ライブを行い、さらに2024年9月3日にはバトゥール東京で開催された上領亘の60th Birthdayイベント「龍鼓の宴」にて4曲を演奏。なんと約20年ぶりの新曲も披露され、孤高の世界観と独自の音楽性で観客を圧倒したのだった。
そんなCROWが22年ぶりのワンマンライブを開催する場所として選んだのは、音響に特化した多目的スペース、御茶ノ水RITTOR BASE。どの席でも妥協のないハイクオリティーなサウンドを楽しんでもらいたいという思いから、席数は各日限定35席のみ。ただでさえ席数が少ないことに加え、CROW公式ファンクラブ”Black Cats”の開設(1月10日スタート)や、上領60th Birthdayイベント「龍鼓の宴」でのライブ映像を4週に渡ってYouTube公開するなど、大いに期待が高まっていたこともあり、チケットはまさに争奪戦。平日の開催にもかかわらず二日間とも瞬殺でsold outした。
実際、本ライブでの音の素晴らしさは予想をはるかに凌駕するもので、リハーサルの段階からメンバーたちも手応えを実感。目を輝かせながら感嘆の言葉を口にしていた。同じくオーディエンスの皆さんも、終演後に「凄かったね!」と興奮気味に感想を語り合っていたし、2日間ともチケットをゲットした方が2日目の入場時に「昨日はこの席で聴いたけど、前後左右のバランスが凄かった」などと話しながら席を選んでいたり、さながら音響という快楽を知ってしまった人間の集会のような状態に。全身を包み込むような低音や、鼓膜をグッと押されるような音圧など、CDでは感じられなかった音の体験に、目から鱗だった方も多いことだろう。
上領が制作した近未来チックな映像と、白石によるSEやシステムを駆使したサウンドメイクが描き出すCROWの世界観に、まさに御茶ノ水RITTOR BASEという環境はぴったり。密室感と緊張感が貫かれつつ、知性と品格を兼ね備えたアグレッシブな演奏を繰り出すCROWのライブを味わう上で、これ以上適した空間はなかなか見つけられないように思う。
一方、オンライン配信のクオリティーも特筆もの。会場では上領による映像をプロジェクターで背景のスクリーンに投影していたが、配信のほうでは映像データ用にチャンネルを一つ使用。スイッチャー技術によって、メンバーの演奏姿にCGをレイヤーしたり、クロスフェードで切り替えて見せたりと、映像作品として成立するほどの完成度でCROWの世界観を拡張表現していた。
また、演奏後にアフタートーク・コーナーが用意されていたこともファンにとっては嬉しいサプライズだったのではないだろうか。教室ほどの近距離で、上領と白石がフレンドリーなトークを展開してくれる日が来るとは…。
そして、1月30日のアフタートークで急きょ告知されたのが、2月28日の“白石元久生誕祭2025『音空間の饗宴~ The Day Before ~』”。閏年生まれの白石の誕生日イベントでもあり、大盛況だった1月の2Daysライブのアンコール公演でもあるそうだ。今回、ゲストとして登場するのは夢時。上領とボーカル若狭さちによるテクノ民謡ユニットNeoBalladのコアメンバーでもあり、昨年9月「龍鼓の宴」でのCROWライブにて艶やかな演奏で華を添えたのも記憶に新しいテクニカルなギタリストだ。エイドリアン・ブリューを想起させるような存在感あるギタープレイが印象的な夢時だが、彼が全面的に参加するCROWのサウンドがどのようにアプローチを変えるのか、今からワクワクである。活動のたびにめざましい進化を続けるCROWの音世界。刮目して待つべし。(text: 舟見佳子)
<開催概要>
日程:2025年2月28日(金) 開場18:30/開演19:00
入場券(限定37席・内FC先行22席):6,900円(税込)
配信視聴券:3,300円(税込)
*販売開始は2/12(水)20:00〜
*全席自由。チケット番号順の入場。
*入場券を購入された方は、2025年3月7日23:00まで配信のアーカイブ視聴が可能です。
会場:御茶ノ水RITTOR BASE
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-1 お茶の水クリスチャン・センターB1
(JR中央線/JR総武線 御茶ノ水駅より徒歩2分、東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅より徒歩3分、東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅より徒歩3分)
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ミニ・アルバム『Brand New Ocean』
【収録曲】
1.Blackish Fractal Garden
2.Last Straw
3.Light Waves
4.Brand New Ocean
5.Half Awake And Half Asleep
定価:3,000円(税込) ※盤面のみ、スリムケース仕様。
購入は、オンラインストアより
CROW 公式X
NeoBallad オフィシャルサイト
GOATBED オフィシャルサイト
<会場で参加される場合>
・「入場券」をご購入の上、御茶ノ水RITTOR BASEにお越しください。会場で参加できるのは「入場券」を購入された方のみです。「配信視聴券」では会場参加はできませんので、チケット購入の際にはお間違えの無いようお気を付けください。
・会場でドリンクの提供/販売はございません。ペットボトルなど蓋の付いた飲料の持ち込みは可能です(アルコール不可)。
・会場周辺での出演者の入り待ち、出待ち行為は禁止いたします。
・体調が優れなかったり37.5度以上発熱がある場合、またインフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症陽性とされた方との濃厚接触がある場合はご来場をお控えください。
<配信視聴の際の注意事項>
・閲覧に関わる通信費用はお客様のご負担となります。
・データ量が多くなるため、安定したインターネット環境の利用を推奨します。
・配信ページへのリンクボタンは、開演の約10分前に「イベント視聴ページ」に掲載します。
オンラインイベントの参加方法
・ライブストリーミング中、途中から視聴した場合はその時点からの映像となり、巻き戻しての再生はできません。
・ライブストリーミング後にファイル変換を行うため、1時間ほど視聴できない時間があります。あらかじめご了承ください。
*延期や中止の場合以外、チケットの払い戻しを原則行いません。ご理解の上、ご購入をお願いいたします。