Ableton and Max Community Japan #049「Simulation of Nature」

DUMB TYPE / 高谷史郎パフォーマンス作品連続上映会

終了
20230501(月)
0507(日)
end

イベント情報

開催概要

京都を拠点に世界的な活動を展開するアートコレクティブ=DUMB TYPE(ダムタイプ)。2022年には59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示に選出され、坂本龍一を新たなメンバーに迎え新作《2022》を発表。現在その《2022》を、東京・京橋にあるアーティゾン美術館6階展示室の空間に再配置した《2022: remap》が5月14日まで展示中です。それに連動する形で、彼らが過去に上演したパフォーマンス作品「S/N」「OR」「memorandum」「Voyage」「2020」および中心メンバーである高谷史郎の「明るい部屋」「CHROMA」の記録映像を、御茶ノ水 RITTOR BASEにて7日間にわたって上映します。ダムタイプ/高谷史郎のパフォーマンスを観たことがない方にとってまたとない機会となるでしょう。また、毎日18:30からの最終回上映後は、制作にかかわったメンバーを招いてのトークイベントも開催。比類無きレベルのクリエイションがどのように行われてきたのか、あらためて振り返っていただくことにします。映画館やクラブに負けない音響システムを備えた御茶ノ水 RITTOR BASEで、故・古橋悌二、山中透、池田亮司、南琢也、古舘健、原摩利彦、濱哲史らが作り上げたサウンドを、ぜひ爆音でご体験ください!

<DUMB TYPE / 高谷史郎パフォーマンス作品連続上映会>
日時:2023年5月1日 (月) 〜 5月7日 (日)
会場:御茶ノ水 RITTORE BASE
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-1 お茶の水クリスチャン・センターB1
会場地図
(JR中央線/総武線 御茶ノ水駅より徒歩2分 東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅より徒歩3分 千代田線 新御茶ノ水駅B1出口より徒歩3分)
入場料:各回1,650円 (入れ替え制) 。トークイベント付き上映回は2,200円
上映作品:「S/N」「OR」「memorandum」「Voyage」「2020」「明るい部屋」「CHROMA」
上映時間: ①10:30〜 ②12:30〜 ③14:30〜 ④16:30〜 ⑤18:30〜(トーク付き上映)
*開場は各回上映開始の10分前。チケット番号順にご入場いただきます。
トークイベント出演:濱哲史、高谷史郎、原摩利彦、山中透、川口隆夫、砂山典子、尾﨑聡
トークイベント司会:國崎晋 (御茶ノ水RITTOR BASEディレクター)
主催:リットーミュージック
協力:ダムタイプオフィス
*映像の解像度が粗いもの、映像と音声にノイズが乗っているものがあります。あらかじめご了承ください。

-上映作品-

《S/N》

(photo: Yoko Takatani)

タイトルは「シグナル/ノイズ」を意味し、音響機器等で信号に対するノイズの比率を表す「S/N比」に由来する。今日の社会が直面する切実な問題であるジェンダー、エイズ、セクシュアリティなどを軸とし、人種、国籍、あらゆるマイノリティや性差別など、現代社会が抱える諸問題を正面から捉え、パフォーマンスのみならず、周囲のさまざまなコミュニティとの交流・連携といった具体的なアクティヴィズムまでも巻き込み展開された。この作品で、構想・演出、そしてパフォーマーとしても出演し、舞台上で自らゲイでありHIV感染者であることを公表していた古橋悌二は、1995年10月29日エイズによる敗血症のため逝去。古橋の死後も、古橋不在の《S/N》は5カ国・6都市で上演され多くの人々に影響を与え続けた。
■パフォーマンス初演:1994年 アデレード・フェスティバル(オーストラリア)
■出演:石橋健次郎、鍵田いずみ、小山田徹、ピーター・ゴライトリー、砂山典子、高嶺格、田中真由美、古橋悌二、薮内美佐子
■撮影:日本衛星放送WOWOW(1995年 スパイラルホール/東京)
■編集:高谷史郎
■ 90分 カラー 1995-2005年 © dumb type

《OR》

(photo: Arno Declair)

1995年に急逝した古橋悌二が死の直前に書き残した次回作のコンセプトノートを出発点に制作。そこには古橋が家族や恋人を亡くした体験から「生と死の境界について、どれほど科学はその境界を制御できるか、どれほど我々の精神はその境界を制御できるのか」というアイディアが書かれていた。舞台は何も無い真白な空間で、半円筒形に張られた白いスクリーンだけで構成される。強力なストロボ照明によるホワイトアウトの創出と強烈な音響・映像。「自己と非自己のボーダー」「生と死の間に横たわるグレイゾーン」などに関する様々な考察が試みられた。《OR》というタイトルには、二者択一(A or B)、二進法(binary system)、0 (zero) Radius=見えない円、オペレーション・ルーム等の意味が含まれている。
■パフォーマンス初演:1997年 「VIA フェスティバル」ル・マネージュ国立舞台(フランス)
■出演:石橋健次郎、大内聖子、川口隆夫、砂山典子、田中真由美、前田英一、薮内美佐子
■撮影:シアター・テレビジョン(1997年 パークタワーホール/東京)
■協力:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
■映像編集:高谷史郎
■音楽編集:池田亮司
■71分 カラー 1998年 © dumb type + Theater Television

《memorandum》

(photo: Kazuo Fukunaga)

プロジェクトに関わるメンバーが「記憶」について一人一人の考えや意見を交わすことから出発し、そこで発生してくる共鳴や差異を様々なかたちで発展させて出来上がったオムニバスのようなこの作品は、圧縮された多くの記憶の断面を時間軸上に組み上げて出来る、一本の直線で出来た迷宮を舞台上に創り出す。舞台全面を覆う半透明のスクリーンは、まるで記憶のように、向こう側にいるパフォーマーの姿を、スクリーンに近づくとはっきりと、遠ざかるとぼんやりと曖昧なものにする。情報が極限的に集積され舞台上を覆う映像と音響の流れの速度と密度が人間の知覚の限界に迫るとき、それは過剰露出されたフィルムのように真っ白な状態に近づいてゆく。あたかも落下しながらほとんど静止して見える凍った瀑布のように。
■パフォーマンス初演:1999年 「Festival de danse」ル・マネージュ国立舞台(フランス)
■出演:大内聖子、川口隆夫、砂山典子、田中真由美、藤原マンナ、前田英一、薮内美佐子、尾﨑聡
■撮影: 虹映社(2000年 シアター・ドラマシティ/大阪)
■映像編集:高谷史郎
■音楽編集:池田亮司
■78分 カラー 2000年 © dumb type

《Voyage》

(photo: Kazuo Fukunaga)

80年代から90年代にかけて日本経済がバブル絶頂期へと突き進み、バーチャルな消費ゲームと情報過剰の社会に対しシニカルな視点で作品を制作し発表してきた私たちは、21世紀の現在、情報というものがいかに限定され操作され偏ったものであるかを改めて知ることとなる。現代のテクノロジーにおいて私たちはもう道に迷うことはない。GPSやナビゲーション・システム、携帯電話でも現在位置がわかる。しかし、これらのテクノロジーのどれが、私たちの心の居場所を教えてくれるだろうか。舞台上では二人の人物が互いに身体をすり合わせるほど近くにいるのに相手が見えていないかのように互いを探し続けている。舞台全面に鏡の床が設置され、漆黒の暗闇と無重力を生み出し、時間と空間の様々な概念の「旅」が描かれた。
■パフォーマンス初演:2002年 トゥールーズ国立劇場(フランス)
■出演:大内聖子、川口隆夫、砂山典子、田中真由美、平井優子、藤原マンナ、前田英一、薮内美佐子
■撮影:2004年 山口情報芸術センター [YCAM]
■編集:高谷史郎
■70分 カラー 2004年 © dumb type

《2020》

(photo: Yoshikazu Inoue)

特定のディレクターを置かず、参加メンバー全員がフラットな関係において作品を創造するというスタイルで活動を続けてきたダムタイプにとって、制作プロセスにおいては互いのコミュニケーションが非常に重要となる。作品制作が開始された2018年は、新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大するという状況は予想されていなかったが、約1年半にわたるクリエイション期間中に、人間社会が直面するさまざまな事象──グローバリゼーション、SNS、超高度情報化社会、監視社会、AI、コミュニケーションなどについて話し合われ、思考を巡らし、それらを捉えようとする視点を持った作品へと成長していく。本作は当初、2020年3月に「KYOTO STEAM-世界文化交流祭-2020」のプログラムの一環としてロームシアター京都で上演される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため公演はキャンセル。無観客で撮影されたパフォーマンス記録映像が、同年10月に撮影された場所と同じロームシアター京都のサウスホールで上映された。
■パフォーマンス初演:2020年3月 ロームシアター京都(公演中止)
■パフォーマンス記録映像上映:2020年10月 ロームシアター京都
■出演:砂山典子、田中真由美、平井優子、薮内美佐子、アオイヤマダ、山中透、大鹿展明
■プロダクション・メンバー:池田亮司、大鹿展明、尾﨑聡、白木良、砂山典子、高谷史郎、高谷桜子、田中真由美、泊博雅、濱哲史、原摩利彦、平井優子、藤本隆行、古舘健、薮内美佐子、アオイヤマダ、山中透、吉本有輝子
■撮影:2020年 ロームシアター京都
■編集:高谷史郎
■69分 カラー 2020年 © dumb type

《明るい部屋》

(photo: Kazuo Fukunaga)

ダムタイプの中心メンバーである高谷史郎が、ロラン・バルト著『明るい部屋 (La Chambre Claire)』から構想を得て、初めて監督として手掛けたパフォーマンス作品。2008年、フェスティバルTheater der Welt からの招聘を受け、約3週間の滞在制作を経てドイツのハレにて初演された。<明るい部屋>とはカメラ・ルシダ [camera lucida]──プリズムや鏡を備えた器具で写生するための装置のこと。カメラの前身ともいえる器具で、カメラの語源となっているカメラ・オブスクラ [camera obscura](暗箱、暗室)と対をなす言葉である。写真ができる(像が結ばれて定着する)過程は暗箱というブラックボックスの中で起こるが、このパフォーマンスでは、すべてを明るみのもとにさらすような舞台が作られている。パフォーマンス空間は両側に客席を置くバイフロントの構造で、中央のアクティングエリア上と両側客席上に合計3つのスクリーンが設置され、上方から様々な映像が投影される。オープニングはナトリウム灯の照明によって色を失ったモノトーンの世界の中に二人のパフォーマーが登場し、ゆっくりとシンクロした動きで始まる。椅子の脇に置かれたスタンドライトが点灯すると、パフォーマーのシャツの青色が浮かび上がり、世界に本来の色がとりもどされていく……。
■パフォーマンス初演:2008年 Theater der Welt (ドイツ)
■出演:薮内美佐子、平井優子、オリヴィエ・バルザリーニ、泊 博雅、前田英一
■撮影:桜木美幸、松田義輝、朝日香苗
■編集:桜木美幸
■68分 カラー 2010年 © shiro takatani / dumb type office

《CHROMA》

(photo: Kazuo Fukunaga)

高谷史郎にとって2作目となる監督作品で、音楽を担当したサイモン・フィッシャー・ターナーが長年共に仕事をしていた映画監督、デレク・ジャーマンの最後の著書「クロマ」(1994)から多くのインスピレーションを得て制作されている。ジャーマンがエイズによって視力を失いながらも死の直前に書いた「クロマ」には、さまざまな「色彩」についての印象深い逸話や、賢人たち(アリストテレス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ニュートン、ゲーテ、ヴィトゲンシュタイン等)の著述の引用が数多く収録されており、哲学的なこと思想的なこと、詩、それに彼自身の病(エイズ)についての記述も含まれている。「死(からの開放)」(Unclose your eyes)から始まって、「誕生」(feedback)で終るこのパフォーマンスには、人生の時間を遡ることと同時に、「光」「色」に関係した様々な事象が含まれている。
■パフォーマンス初演:2012年 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
■出演:薮内美佐子、平井優子、オリヴィエ・バルザリーニ、アルフレッド・バーンバウム
■声(出演順):パオリノ・アッコーラ(アリストテレス、レオナルド)、マーク・ロビンソン(ニュートン)、マルクス・ティネス(ゲーテ)、アルフレッド・バーンバウム(ヴィトゲンシュタイン、ジャーマン)、ユザーン(文:薮内美佐子)、ジャスパー・フィッシャー・ターナー
■音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー、原摩利彦、南琢也
■撮影・編集:桜木美幸
■70分 カラー 2012年 © shiro takatani / dumb type office

-time table-
●5/1 (月)
10:30- 「S/N」
12:30- 「OR」
14:30- 「memorandum」
16:30- 「Voyage」
18:30- 「2020」+トークゲスト:濱哲史

●5/2 (火)
10:30- 「OR」
12:30- 「memorandum」
14:30- 「Voyage」
16:30- 「2020」
18:30- 「明るい部屋」+トークゲスト:高谷史郎

●5/3 (水)
10:30- 「memorandum」
12:30- 「Voyage」
14:30- 「2020」
16:30- 「明るい部屋」
18:30- 「CHROMA」+トークゲスト:原摩利彦

●5/4 (木)
10:30- 「Voyage」
12:30- 「2020」
14:30- 「明るい部屋」
16:30- 「CHROMA」
18:30- 「S/N」+トークゲスト:山中透

●5/5 (金)
10:30- 「2020」
12:30- 「明るい部屋」
14:30- 「CHROMA」
16:30- 「S/N」
18:30- 「OR」+トークゲスト:川口隆夫

●5/6 (土)
10:30- 「明るい部屋」
12:30- 「CHROMA」
14:30- 「S/N」
16:30- 「OR」
18:30- 「memorandum」+トークゲスト:砂山典子

●5/7 (日)
10:30- 「CHROMA」
12:30- 「S/N」
14:30- 「OR」
16:30- 「memorandum」
18:30- 「Voyage」+トークゲスト:尾﨑聡

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